Q1:A/CRA/FT(CRA、CRAFT、ACRA)は公認ワークショップを受講していないと実施してはいけないものですか?また、「A/CRA/FTを実践している」と名乗ってはいけないものですか?
A:近年、日本でもA/CRA/FTに関する書籍が数冊発刊されていますので、まずは書籍を読まれてから公認ワークショップに参加されることをお勧めします。
A/CRA/FTはライセンスではないので、書籍を読み、実践で使うということを制限するものではありません。ただ、これまで公認ワークショップや(コーディングを含む)スーパーヴィジョンを受けることで、クライアントにより良い結果がもたらされることが研究により示されています。さらに、公認ワークショップを受講することをお勧めする理由として、オリジナルの本の出版は(何年も経過しており)タイムリーではないため、公認ワークショップ受講によって臨床的にも研究用にも最新の情報を入手できます。
Q2:A/CRA/FTを実践し、研究成果を発表したいのですが、どうすればよいのでしょうか?
A:上記のように、国際的な研究の観点から、私たちはA/CRA/FTによる介入の信頼性を重視しており、認定セラピストを得た後に介入研究をすることが望ましいと考えています。よって、介入がA/CRA/FTのどのにおける教育水準にいる人によってなされたかを確かめるために、介入した人についての記述はオープンで透明性が保たれていることが重要です。ただ、日本では公認セラピスト制度が開始されたのは2019年からですので、それまでに介入研究をされた場合は、「公認ワークショップを受講した」「介入について公認トレーナーからスーパーバイズを受けた」等、発表時にご自身のA/CRA/FT歴を記述されると良いと思います。
※研究を希望される方は、当会に一度ご相談ください。
Q3:A/CRA/FTは日本以外では、どのような国で実施されていますか?
A:日本以外では、米国、ブラジル、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、スコットランド、スウェーデン、デンマーク、オランダ、ベルギー、ドイツ、スペインの臨床・研究グループがA/CRA/FTを用いています。ただ、日本とは保険制度の違いも大きく、実践方法も多様です。
CRAFTを社会的ひきこもりや発達障害への家族支援に応用し、エビデンスを蓄積している点は日本独自の取り組みです。
Q4:A/CRA/FTとこれまでの認知行動療法はどう違いますか?
A:A/CRA/FTは、オペラント条件付けをベースとした行動療法です。A/CRA/FTは、セルフコントロールスキルによって望ましくない行動を減らすことを重視する伝統的なやり方よりも、コミュニティを広く利用することによって望ましい行動を強化するという観点を強調しています。また、私たちは問題行動よりもむしろ親社会的行動に焦点を合わせています。そのため、コントロールされた環境ではなく、現在の生活環境での学習と実践を重視しています(ただし、解毒などのために短期間コントロールされた環境が必要になる場合もあります)。したがって、本人の置かれている環境(家族を含むコミュニティ)を変容させていくという方針をとります。
さらに、A/CRA/FTは、彼らが何に取り組みたいのかを尋ねることによって、(たとえそれが薬物やアルコールに直接関連していない場合でも)本人の経験と欲求を広く利用します。
Q5:A/CRA/FTの実践者には何か資格が必要ですか?
A:日本での実践者の多くは、医師、心理職(公認心理師や臨床心理士等)、看護師、元患者です。特定の資格というよりは、行動理論についての基盤があり、A/CRA/FTの哲学や技法を理解されている方が望ましいと考えます。